高田芳樹にとって重要な位置を占める。
作品、全カテゴリーを包括するキーワードである。
「心に刻まれる」「ものの痕が直接的に残る」「模倣」などを意味する言葉「impression」は、痕跡を意識したときに始まる。
- ■ ■ ■ 東北地方のチューリップ ■ ■ ■
- フランスの,アートフェアに行くのをキャンセルした。持っていくはずの作品は、箱のまま。
震災以来、TVの前から動けない。抽象的なイメージは、TVの現実に形にならない。
津波の去った後、家も人もいなくなった庭先で、たくさん植えたチューリップの球根から芽吹く事を祈る人がいた。
私も、共振した。
- ■ ■ ■ 痕跡ー気配ー記録 シリーズ ■ ■ ■
- 私は、空間を私型(わたしかた)に移動する。
空間は、私型を受け入れる。
私は、光や風や熱を感じる。
そして、ときどきその痕跡を記憶する。
わたしは、・・・稀に「記録」する。
- ■ カラーチャート化計画進行集中 2010
- 痕跡ー気配ー記録のシリーズは4回目となった。
揺らめく、寒冷紗の作品上に、ジョグジャカルタでの展示風景が重なる。 プロジェクターの光は、寒冷紗の数枚を透過し、寒冷紗の作品を映し出す。 見るものは「今の場所と時間」と「ジョグジャカルタの場所と時間」を行き来する。 そして、それ自体がまた記録となる。
昨年12月、インドネシアのジョグジャカルタでの展開以降の記録を元に再構成し発表。
1)ジョグジャカルタで制作した作品上に、ジョグジャカルタの展示の様子を映写した。
2)カラーチャートの性格付けを表示した(私型チャートにすること)。
3)私型のカラーチャートの頒布計画。(見届けイワシ)。
- ■ 顔 2010
- 顔のシリーズ1(2009)は、「私は、1951年春に生まれた。」我が家の、アルバムの「記録と痕跡」やがて「記憶」へ向かう。
顔のシリーズ2と箱から(2009)は、「自分の作品を記録すること」以前発表した作品を記録しなおすとき、作品は二重の意味を持つ、その繰り返しはやがて、意味を無くし痕跡となる。
- ■ 採取 2008
- 「出会ったものを収集する」こと。
私には、収集癖はない。整理もできない。短い3週間の旅ならば、出会ったものを収集し、整理とやらをしてみようか。
もっとも、収集するものは人の要りそうもない物。 筆記や映像、あるいは録音でない「不要な物」が記録となる。
その語り部を、そっと綿布で包んだ。
- ■ 乾拓(フロッタージュ) 2006
- 出会いを、フロッタージュで採取すること。
ギャラリーをフロッタージュする。由芽の天井は、工事そのものの記録。躯体のコンクリートを記録した。同時に、その他の場所でのフロッタージュ作品の展示。
大谷石の採掘場の壁面。ベトナムの路上。ルーマニアの鉄製の扉。
- ■ ■ ■ STUTTGART シンポジューム ■ ■ ■
- 「ドイツの07年末08年始」の作業。クリスマス・ニューイヤーカウントダウンを、シュットガルトで過ごした。
人の集まるところ、ローソクの灯りが、揺らめいていた。
わたしは、ローソクの中に07年最後に出会いし物を封印し、08年の年賀状をプラスチック袋に入れた。
- ■ ■ ■ コレクション ■ ■ ■
- なるべくの、創作を排除して、その年に私を通過したものの断片をその記憶とともに、プラスチックバッグに入れ、美術館の隅に並べてみた。
- ■ ■ ■ CAREI-RUMANIA シンポジューム ■ ■ ■
- 「その場」で作るということ。その場は、わたしに何も与えてくれなかったのか。
わたしに、その用意がなかったのか。これも、その場で作ること。まあいいか。
- 石の構造物の中で、対峙させたもの。
インプレッションが、痕跡の意味を含めたという意味でタイトルとする。日本語訳は、おおむね「印象」と訳するようだが、ものへの明確な印としての「印象」を始めて意識した場所がこの会場だった。
(211mm x 211mm、黒:木枠 綿布 アクリル 鉛筆、白:オイルパステル 木枠 綿布、赤:蛍光オレンジカラー絵の具 トレーシングペーパー、白:トレーシングペーパー 鉛筆、Impression Flag 1820mm x 900mm:綿布)
- ■ ■ ■ 大谷の地下深く ■ ■ ■
- 状況の説明をすること。
壁面がある。その壁面の、フロッタージュを、壁面より30センチほど手前に展示する。地下深く、暗闇に近い環境なので、ブラックライトで、壁面のフロッタージュを浮かび上がらせる。浮かび上がるものは、壁面の一番私に近い盛り上がった部分。
それは、壁面を写したのだろうか、それとも壁面を覆い隠したのだろうか。
- ■ ■ ■ 還流 〜共振する場〜 ■ ■ ■
- 「大谷の空間を移動する」こと。
韓国のテグ市のギャラリーを、大谷の地下空間に変える。
その空間に、小さな灯りで作品を展示する。
(壁面は、高田芳樹、手前は、本多真理子氏の作品)